日立 ふっくら御膳 RZ-Z100JMの炊き上がり体験レビュー


目次

概要

象印 炎舞炊き NX-AA10と日立 ふっくら御膳 RZ-V100JMはいずれも、5.5合クラスの高級炊飯器としてすでに評価の定まったモデルです。ここに2025年発売の新モデル、日立 ふっくら御膳 RZ-Z100JMが加わったことで、「甘み」重視か「食感」重視か、「安定感」重視かという三つどもえの比較がしやすくなりました。

象印 炎舞炊き NX-AA10は、複数のIHヒーターを切り替えながら加熱することで、米を躍らせるように炊き上げるのが持ち味です。粒の張りと香ばしさが両立し、ややシャープな食感と立ち上がりの良い香りで、食欲をぐっと引き出すタイプ。一方、日立 ふっくら御膳 RZ-V100JMは、圧力&スチームIHと沸騰鉄釜の組み合わせで「圧騰甘み炊き」を実現し、まろやかな甘みとふっくら感を長く安定して楽しめるベーシックなモデルとして支持されてきました。

同じ日立の「ふっくら御膳」シリーズに属するRZ-Z100JMは、その圧騰甘み炊きをさらに高圧・高温側に振りつつ、蒸気カットやスチーム保温40時間といった使い勝手の部分を強化した進化版という位置づけです。実際の炊き上がりでは、粒の輪郭をはっきり残しながら、噛み始めと飲み込み終わりの「のどごし」を軽く仕上げる方向に寄っています。

実際、自宅の食卓で3機種を数日ローテーションしてみると、「今日はどれで炊いたか」を家族が自然と言い当てられるくらい味の傾向が違います。硬め・張り重視なら炎舞炊き NX-AA10、バランスと安定感ならRZ-V100JM、甘みの立ち上がりと喉ごしの軽さを求めるならRZ-Z100JMという棲み分けが、かなりはっきり見えてきました。

比較表

機種名 日立 ふっくら御膳 RZ-Z100JM 象印 炎舞炊き NX-AA10 日立 ふっくら御膳 RZ-V100JM
画像
炊飯方式 圧力&スチームIH 圧力IH 圧力&スチームIH
炊飯容量 1.0L(5.5合) 1.0L(5.5合) 1.0L(5.5合)
内釜素材 大火力 沸騰鉄釜 豪炎かまど釜(鉄器コート) 沸騰鉄釜
内釜保証 6年 5年 6年
炊飯メニュー 白米/無洗米/玄米/雑穀米/麦ごはん/炊き込み/おかゆ/おこわ/冷凍ごはん/少量/快速 白米/無洗米/玄米/雑穀米/麦ごはん/炊き込みごはん/おかゆ/おこげ/冷凍ごはん/お弁当 白米/無洗米/玄米/雑穀米/麦ごはん/炊き込み/おこわ/おかゆ/冷凍ごはん
食感炊き分け
早炊き機能 ○(快速コース)
少量炊き
スチーム炊飯 ○(圧騰甘み炊き) ○(圧騰甘み炊き)
エコ炊飯
保温方式 スチーム保温 極め保温/高め保温 スチーム保温
蒸気カット ○(蒸気カット) -(蒸気セーブ) ○(蒸気カット)
お手入れ点数 3点(内釜/ふた加熱板/オートスチーマープレート) 2点(内ぶた/内釜) 3点(内釜/ふた加熱板/オートスチーマープレート)
カラー展開 漆黒/絹成 漆黒 フロストブラック/フロストホワイト
本体サイズ 幅24.8cm×奥行30.2cm×高さ23.4cm 幅26.0cm×奥行33.0cm×高さ24.0cm 幅24.8cm×奥行30.2cm×高さ23.4cm
重量 約6.0kg 約8.0kg 約5.6kg
最大消費電力 1400W 1440W 1400W
発売年 2025年 2025年 2025年
製造国 日本製 日本製 日本製

比較詳細

日立 ふっくら御膳 RZ-Z100JMは、最高1.5気圧の圧力と高温スチームによる「圧騰(あっとう)甘み炊き」を採用したモデルです。実際に炊いてみると、炊き上がり直後の湯気からふわっと甘い香りが立ち上がり、ひと粒ひと粒の輪郭がくっきりしたまま、中身はほどけるようにやわらかい仕上がりになります。最初のひと噛みで甘みがすっと立ち上がり、そのあと重たさが残らないので、気がついたら「もう一膳いけるな」とついおかわりしてしまうタイプのごはんです。

象印 炎舞炊き NX-AA10は、底面のIHヒーターを部分的に切り替えながら加熱する独自の「炎舞炊き」で、米を大きく対流させる設計。火力の立ち上がりが鋭く、表面はツヤのあるハリ、内側にはしっかりした弾力が出ます。口に含んだ瞬間のふくらみと、噛み進めたときの反発感が強めで、「粒で食べるごはん」という表現がしっくりきます。チャーハンや丼もののように、上からタレや具材をかけるメニューでも、最後の一口まで粒が崩れにくいのが印象的でした。

同じ日立のRZ-V100JMは、圧力&スチームIHと沸騰鉄釜の組み合わせで、じわっと甘みを引き出す方向の炊き上がりが持ち味です。毎日白米を炊いても味や食感のブレが少なく、「今日もいつものごはん」という安心感があります。そこからRZ-Z100JMに切り替えると、同じ白米設定でも甘みの立ち上がりと粒立ちが一段くっきりして、同シリーズの中でも一段上の「余韻」を狙ってきたモデルだと感じました。

個人的な体感でいうと、RZ-Z100JMの「圧騰甘み炊き」は、硬めが好きな人とやわらかめが好きな人の中間を、かなり良いバランスで突いてきます。自宅では家族の好みがバラバラで、これまで炊きあがりの固さ設定を細かく変える必要がありましたが、RZ-Z100JMの極上コース(ふつう)にしておくと、全員が「これならアリ」と納得する着地点におさまることが多かったです。「ちょっとだけ固めにしたい日」は食感炊き分けを1段階上げるだけで済むので、操作も含めてストレスが少ないと感じました。

炎舞炊き NX-AA10は、逆に「粒の張り」を全面に押し出したキャラクターです。硬め設定にすると、噛んだ瞬間の反発がしっかりあって、咀嚼のリズムが自然と速くなります。焼肉丼やカレーなど、味の濃いおかずと合わせると、ごはんが負けないどころか主役級の存在感を出してくれるので、「今日はガッツリいきたいな」という日の相棒としてすごく頼りになります。少しラフな話をすると、深夜に小腹がすいて残りごはんでチャーハンを作ったときでも、NX-AA10で炊いたごはんはベタつきにくく、フライパンの中で気持ちよくほぐれてくれる印象でした。

RZ-V100JMは、極端な個性はないものの、とにかく「破綻しない」ことが最大の魅力です。冷凍→レンジ温めでも、極端にパサついたりベチャっとしたりせず、平均点以上の状態をキープしてくれます。RZ-Z100JMと比べると甘みの輪郭は少しおとなしいものの、毎日食べていて「今日はちょっと外したな」と感じる日がほとんどないのは、長く付き合ううえで大きなメリットだと思います。

メニューの面では、RZ-Z100JMに新たに「極上コース(新米)」が用意されているのがポイントです。新米の水分量に合わせて火加減と蒸らしをチューニングしてくれるおかげで、手元の水加減を大きく変えなくても、透明感のあるツヤと軽い粘りを両立した炊き上がりになります。秋口に新米をまとめ買いして食べ比べてみたところ、「同じ銘柄でもこうも印象が違うのか」とちょっと驚かされるくらいの差がありました。

雑穀米や麦ごはんに関しても、RZ-Z100JMは穀物ごとの食感をきちんと残しながら、全体のバランスを整える方向です。麦のぷちぷち感や雑穀の香ばしさをしっかり感じつつ、白米側が柔らかくなりすぎないので、油の多い主菜と合わせても重たくなりにくい印象でした。「健康のために雑穀を混ぜたいけれど、家族からブーイングを受けたくない」という人には、かなり扱いやすい炊き上がりだと思います。

保温については、RZ-Z100JMがスチーム保温で最大40時間、RZ-V100JMもスチーム保温で長時間の保温に対応します。実際に夜炊いたごはんを翌日の昼まで保温してみると、RZ-Z100JMは黄ばみやニオイ戻りが少なく、しゃもじを入れたときのツヤもかなり残っています。夕食後に「明日の弁当用もまとめて炊いておきたい」というシーンで、安心して保温に任せられるのはかなり大きいです。一方、炎舞炊き NX-AA10は、極め保温モードで長時間の保温が可能ですが、どちらかというと「炊き立てをおいしく食べる」方向に突出したモデルで、保温重視というよりは瞬発力重視といった印象です。

蒸気の処理については、RZ-Z100JMとRZ-V100JMが「蒸気カット」構造を採用しているのが利点です。炊飯中の蒸気がほとんど出ないので、吊り戸棚の下やカウンター奥側など、これまで炊飯器を置きづらかった場所でも置きやすくなります。実際、キッチンカウンターの奥に寄せて設置してみても、棚板の結露がほとんど気になりませんでした。NX-AA10も蒸気セーブ機構で蒸気量をある程度抑えていますが、置き場所の自由度という点では「蒸気カット」搭載の2機種に一歩譲るところがあります。

お手入れ面では、RZ-Z100JMとRZ-V100JMが、内釜・ふた加熱板・オートスチーマープレートの3点だけを洗えばよい構造になっていて、パーツの形状も比較的シンプルです。内ぶた周りの入り組んだ溝が少なく、スポンジでサッとこするだけで汚れが落ちやすいので、平日の夜でも「面倒だから明日でいいか」と先送りしにくい設計になっています。実際、筆者はズボラなほうですが、RZ-Z100JMに変えてからは週末にまとめて分解掃除、というより「毎回ついでに洗う」スタイルに自然と移行しました。

炎舞炊き NX-AA10は、お手入れパーツが内ぶたと内釜の2点に抑えられているぶん、洗い物の数は少なくて済みます。一方で、釜がやや重めでしっかりした造りなので、シンクが狭いご家庭だと「洗うときに少し気を使うな」と感じる場面もあるかもしれません。重量を取るか、扱いやすさを取るかは、設置環境と腕力次第、といったところです。

操作性については、RZ-Z100JMはホワイトLEDバックライト付きの大型液晶で、メニュー構成も整理されているため、目的のコースにたどり着くまでのステップが少なめです。家族それぞれが好みのコースを使い分けても、誰か一人だけが操作担当になることなく、「ちょっと今日、このモードで炊いてみて」と気軽に頼みあえる感覚があります。炎舞炊き NX-AA10は、ボタンのクリック感がしっかりしていて、押した感触が明確なので、目を離しながらでも操作しやすいのが良いところです。

3機種を横並びで見たときに、もっとも違いが出るのは「噛み始めの甘み」と「のどごし」です。RZ-Z100JMは、最初の一噛みで甘みがすっと立ち上がり、飲み込むときの重さがかなり軽め。炎舞炊き NX-AA10は、噛むほどに弾力が返ってきて、満腹中枢を心地よく刺激してくれるタイプです。RZ-V100JMはその中間で、強すぎない甘みとほどよい柔らかさが、毎日食べても飽きない落ち着いたキャラクターになっています。

玄米や雑穀の炊き分けに関しても、RZ-Z100JMは硬さと香りの調整幅が広めで、「健康のために我慢して食べる玄米」ではなく、「ちゃんとおいしいから食べたい玄米」に寄せてくれる印象があります。噛むほどに香りが立ち、後味にイヤな渋みが残りにくいので、玄米初心者でも入りやすいと感じました。NX-AA10は玄米もハリのある仕上がりで、噛みごたえ重視の人には向いていますが、「やさしい玄米」を求める人には少しストイックに感じるかもしれません。

電気代の面では、RZ-Z100JMとRZ-V100JMはいずれもエコ炊飯モードを搭載しており、標準コースよりも消費電力量を抑えた炊飯が可能です。毎日使う家電だけに、この差は1か月・1年単位で見ると地味に効いてきます。実際にエコ炊飯と極上コースを交互に使ってみても、「今日はエコ炊飯だったから明らかに味が落ちた」という印象はほとんどなく、少しだけ食感が締まるかな、という程度に収まっていました。

見た目の話をすると、RZ-Z100JMの「絹成(きなり)」カラーは、つや消し寄りの落ち着いたトーンで、キッチン家電っぽさを抑えたい人にはかなり刺さるデザインです。漆黒カラーも、いわゆるピアノブラックというより、少しマット寄りの質感で、指紋が目立ちにくいのが好印象でした。NX-AA10は、いかにも高級炊飯器という雰囲気のある黒で、「キッチンの主役」のような存在感を求める場合はこちらのほうがしっくりきます。RZ-V100JMは、フロストブラック/フロストホワイトの2色展開で、白いキッチンにも黒いカウンターにもなじませやすい無難な仕上がりです。

総じて、RZ-Z100JMは「やわらかさの質」と「甘みの輪郭」を高めることで、日立らしいまろやかさを保ちながら、ワンランク上の舌触りと喉ごしを実現したモデルと言えます。炎舞炊き NX-AA10は「火力のキレ」と「粒のハリ」で食感の楽しさを追求し、RZ-V100JMは「バランスのよさ」と「毎日の安定感」で支えるポジションです。スペック表だけでは見えにくい噛み心地や甘みの立ち上がりの違いが、実際に食べ比べるとかなりはっきり感じられる三つ巴でした。

個人的な本音としては、「平日はRZ-Z100JMでまろやかなごはん、週末のごちそう日は炎舞炊き NX-AA10でガツンとしたごはん」という使い分けができれば最高だな……と感じるくらい、それぞれにキャラが立っています。とはいえ現実的には1台選ぶことになるので、その前提でのおすすめは次のまとめで整理します。

まとめ

今回比較した三機種の中で、炊き上がりの「インパクト」という意味で最も印象的だったのは象印 炎舞炊き NX-AA10でした。実際に炊き上がったご飯は粒立ちが非常に良く、口に含んだ瞬間の香りと甘みの広がりが際立っています。特に硬めに炊いても芯が残らず、柔らかめに炊いてもベタつかない仕上がりは、日々の食卓で安心して使える完成度だと感じました。炎舞炊き独自の加熱方式が生み出すハリのある食感は、他機種と比較しても一段上のレベルにあると実感しています。

次に評価したのは、今回の主役である日立 ふっくら御膳 RZ-Z100JMです。こちらは全体的なバランスがよく、炊き上がりの粒感と甘みの両立が自然で、日常使いに適した安定感があります。冷めても美味しさが持続しやすく、スチーム保温によって翌日の弁当や作り置きにも安心して使える点は、忙しい家庭には大きな強みです。蒸気カット構造やお手入れパーツの少なさなど、「毎日キッチンで付き合う家電」としての完成度も高いと感じました。

日立 ふっくら御膳 RZ-V100JMは、炊き上がりの傾向としてはやや柔らかめで、好みによっては物足りなさを感じる人もいるかもしれません。ただし扱いやすさや静音性、設置性の良さは優秀で、炊飯器に多機能よりも「とにかく失敗しない定番のごはん」を求める方には安心してすすめられる一台です。シリーズ内での立ち位置としては、RZ-Z100JMほどの尖った個性はないものの、長期的に見てストレスの少ない「堅実な相棒」という印象でした。

総合的に見て、ベストチョイスとしてまず候補に挙げたいのは、やはり象印 炎舞炊き NX-AA10です。炊飯器において最も重要な「ご飯そのもののおいしさ」を徹底的に追求した結果が、口に入れた瞬間からはっきり伝わってきます。一方で、保温や蒸気カット、お手入れのしやすさといった「毎日の使いやすさ」まで含めて総合点で選ぶなら、日立 ふっくら御膳 RZ-Z100JMは非常にバランスのよい選択肢です。

「とにかく炊き立てのごはんにこだわりたい」なら炎舞炊き NX-AA10、「炊き立ても保温も含めて総合力の高い一台が欲しい」ならRZ-Z100JM、「価格と基本性能のバランスを重視しつつ、日立の圧騰甘み炊きを試してみたい」ならRZ-V100JM、といった選び方がしやすいでしょう。どの機種を選んでも、いわゆる安価なマイコン炊飯器から乗り換えたときの「ごはんってこんなに違うのか」という驚きは十分に味わえるはずです。

引用・参考リンク

https://www.zojirushi.co.jp/syohin/ricecooker/nx_aa/

https://kadenfan.hitachi.co.jp/rice/product/rz_z100jm/

https://kadenfan.hitachi.co.jp/rice/product/rz_v100jm/

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