中学生の学習用に電子辞書を選ぶとき、「中学生専用に作られたXD-SA3900」と「小学生から中学生まで幅広く使えるXD-SX3810」で迷う方は多いと思います。どちらも5.7型タッチパネルや音声対応、Wi-Fi対応など基本性能は共通しつつ、対象学年やコンテンツ構成にははっきりとした違いがあります。ここでは、実際に両機種を使い比べた印象も交えながら、「中学生の学習相棒としてどちらが向いているか」を詳しく整理していきます。
比較表
| 機種名 | カシオ エクスワード XD-SA3900 | カシオ エクスワード XD-SX3810 |
|---|---|---|
| 画像 | ||
| モデル区分 | 中学生モデル | 小・中学生モデル |
| 画面サイズ | 5.7型タッチパネル | 5.7型タッチパネル |
| 画面解像度 | 864×480ドット | 864×480ドット |
| タッチパネル | 対応 | 対応 |
| 内蔵メモリー容量 | 約10GB(収録コンテンツを含む) | 約900MB(本体ユーザーエリア) |
| 収録コンテンツ数 | 180コンテンツ(プリセット178+アフター2) | 220コンテンツ(辞書・学習コンテンツ合計) |
| 国語系辞書 | デジタル大辞泉、明鏡国語辞典ほか中学生向け国語辞書多数 | デジタル大辞泉ほか、小・中学生向け国語辞書多数 |
| 英語系辞書 | エースクラウン英和辞典、ジーニアス英和辞典ほか中学生向け英和・和英辞典 | 小・中学生向け英和・和英辞典、および英検対策コンテンツなど |
| その他辞書・学習系 | ことわざ・四字熟語・古語・百科事典・英検対策ほか | ことわざ・四字熟語・漢字辞典・学習百科・英検対策ほか |
| 電源 | 単3形アルカリ乾電池×2、単3形eneloop×2 | 単3形アルカリ乾電池×2、単3形eneloop/充電式EVOLTA×2 |
| 電池寿命(英和辞典連続表示) | 約130時間(アルカリ乾電池使用時) | 約130時間(アルカリ乾電池使用時) |
| 電池寿命(入力・検索含む使用) | 約45時間(アルカリ乾電池使用時) | 約45時間(アルカリ乾電池使用時) |
| USB給電 | 対応(PC/USB-ACアダプターから給電) | 対応(PC/USB-ACアダプターから給電) |
| 動画再生 | 対応(収録コンテンツによる) | 対応(収録コンテンツによる) |
| Wi-Fi通信 | 対応(コンテンツ追加など) | 対応(コンテンツ追加など) |
| スピーカー | 搭載 | 搭載 |
| イヤホン出力 | 対応(ステレオミニ) | 対応(ステレオミニ) |
| 電卓機能 | 12桁計算対応 | 12桁計算対応 |
| 本体カラー | ホワイト/ピンク/ブラック | ホワイト/グリーン |
| 発売年 | 2025年(中学生モデル) | 2023年(小・中学生モデル) |
比較詳細
対象学年とコンテンツ構成の違い
XD-SA3900を手に取ったとき、まず強く感じたのは「中学生の3年間に必要なものを一通りまとめました」という割り切りの良さです。中学生向けに特化したモデルなので、ホーム画面からアクセスできるコンテンツも中学の主要5教科が中心で、余計なメニューに惑わされません。正直、「今は何を開けばいいんだっけ?」と迷う時間がほとんどなくて、テスト前にサッと調べたい場面でもストレスがありませんでした。
一方でXD-SX3810は、小学生高学年から中学生までの「橋渡し」を意識した構成になっています。小学校の漢字や外国語の学習コンテンツから、中学5教科、さらには英検対策までカバーしており、守備範囲はかなり広めです。その分メニュー構成はややリッチで、「小学生のきょうの宿題」と「中学生の定期テスト対策」が1台で済むイメージ。家庭で兄弟姉妹で共有したい場合や、小学生のうちから先取りで中学内容も少しずつ触れていきたい場合には、SX3810の方が使い勝手が良いと感じました。
実際に両機種を並べて使ってみると、SA3900は「中学の教科書に合わせて必要な辞書や教材が自然と手の届くところに並んでいる」感覚が強く、学年が上がるにつれて使えるコンテンツが増えていくイメージです。SX3810は「学年の枠をまたいで使える道具箱」のような印象で、学年を超えた調べ物や、まだ習っていない内容への興味にも応えてくれます。
辞書・学習コンテンツの充実度
辞書のラインナップはどちらもかなり充実していますが、方向性に違いがあります。SA3900は中学生向けに厳選された国語・英語辞書と学習コンテンツが中心で、「定期テストと高校入試」をしっかり意識した構成です。国語ならデジタル大辞泉や明鏡国語辞典、英語ならエースクラウンやジーニアス英和辞典など、学校でも名前を聞くような定番辞書がきちんと揃っていて、調べた内容をそのままノートに写しても安心感があります。
SX3810は、同じくデジタル大辞泉などの本格辞書に加え、小学生向けの漢字辞典や学習百科、図鑑的なコンテンツまで網羅しているのが特徴です。搭載コンテンツ数はおよそ220で、SA3900よりも数の上では多め。実際に触ってみると、「あれ、こんなコンテンツも入ってたんだ」と後から気づくことが多く、興味の幅を広げるにはかなり向いていると感じました。
ただ、「どちらが中学生の勉強に使いやすいか」という視点で見ると、コンテンツ数の多さよりも、SA3900のように中学生向けに整理されている構成の方が使いやすい場面も多いです。特にテスト前の短い時間でピンポイントに調べたいときは、SA3900のシンプルな構成のほうが一歩リードしている印象でした。
操作性・UIの違いと使い心地
操作性については、両機種とも5.7型のタッチパネルと物理キーボードを備えた共通のUIを採用しているため、基本的な操作感はかなり似ています。メニュー構成や画面遷移も近いので、どちらかに慣れてしまえば、もう一方を触ってもほとんど違和感なく操作できます。
そのうえで細かい違いを挙げると、SX3810の方が「コンテンツの層が厚い分、検索の選択肢が多い」印象です。例えば英単語を調べたとき、関連する例文や別の辞書へのジャンプが豊富で、横に広げて調べ物をしたいときに心強い存在になってくれます。一方でSA3900は、検索結果から目的の情報に辿り着くまでのステップが少なく、必要最低限の選択肢に絞られているぶん、テンポよく調べて次の問題に進みたいときに快適です。
個人的には、英語の長文問題を解いていて分からない単語を次々と調べるようなシーンではSX3810の情報量の多さが頼りになり、国語や漢文、古文の用語確認など「ササッと調べてすぐ戻る」使い方ではSA3900のスッキリした導線が気に入りました。正直、どちらも「使いづらい」と感じる場面はほとんどなく、好みと学習スタイルで選んでいいレベルだと思います。
バッテリー・携帯性・Wi-Fiの実用性
バッテリーと携帯性は、スペックを見る限りほぼ同等です。どちらも単3形アルカリ乾電池2本で約130時間(英和辞典の訳画面連続表示)、通常使用でも約45時間の駆動が公称値になっており、実際に数日間、毎日1~2時間ほど使ってみても「電池切れが不安になる」ことはありませんでした。正直、このクラスの電子辞書でここまでバッテリーを気にせずに使えるのはかなりラクです。
USB給電とWi-Fi対応も両機種共通で、机に向かって長時間使うときはUSB-ACアダプターにつないでしまえば電池残量を気にせず使えます。Wi-Fiは主にコンテンツ追加やアップデート用ですが、自宅のWi-Fiに一度つないでしまえば、あとはあまり意識せずに使える印象でした。接続も難しくなく、「電子辞書なのにちゃんと今どきのネットワーク機能を持っているな」という安心感があります。
本体サイズや重さもほぼ同じで、どちらも幅157.5mm前後、重さ約290g程度。通学カバンに入れて持ち運んでみても、ノート数冊と一緒にして苦になる感じではありませんでした。小柄な中学生でも「ちょっと重いけど毎日持ち歩ける」くらいのバランス感だと思います。
「使い続けたときの印象」の違い
実際に数日間、両機種を並行して使ってみると、SA3900は「中学生の学習に必要なものが過不足なくまとまっている」安心感が際立ちます。毎日の予習復習で教科書やワークと一緒に机の上に置いておくと、いつの間にか自然と手が伸びる存在になってくれて、「とりあえずこれを開けば大丈夫」と思える相棒になりました。
一方のSX3810は、「学年をまたいで長く付き合える万能型」という印象が強いです。小学生の漢字の復習から、中学生の英語長文・英検対策まで幅広くカバーしてくれるので、特に英語や国語が好きな子が「もっといろいろ調べたい」と思ったときに、しっかり応えてくれる器の大きさがあります。家でじっくり調べ物をするときに、SX3810のコンテンツの多さに何度も助けられました。
スペック表だけを見ると、メモリー容量はSA3900(約10GB)、ユーザーエリアの容量はSX3810(約900MB)と役割がやや違うように見えますが、日常的な学習で「容量が足りない」と感じる場面はどちらもまずありませんでした。それよりも、どのコンテンツにどうアクセスしやすいか、メニューが自分の学年や目的にフィットしているか、といった部分のほうが体感としては大きな差になります。
どんな人にどちらがおすすめか
総合的に見て、SA3900は「中学生の3年間にフォーカスして、とにかく迷わず使いたい人」に向いています。中学の主要5教科と高校入試を見据えたコンテンツ構成、シンプルなメニュー、十分な辞書ラインナップのおかげで、毎日の予習・復習や定期テスト対策の効率をしっかり上げてくれる印象です。部活で忙しくて勉強時間が限られているような中学生でも、「必要なものがすぐ出せる」電子辞書として頼りになります。
一方でSX3810は、「小学生高学年から中学生まで長く使いたい」「辞書だけでなく、図鑑的なコンテンツや学習ツールもどんどん活用したい」という人におすすめです。兄弟姉妹で共有したり、早めに一台買っておいて、小学生のうちから英語や漢字の学習に使っていきたい家庭にはこちらのほうがマッチしやすいと感じました。英検や各種検定対策も見据えつつ、学習の幅を広げたい人には心強い選択肢です。
どちらを選んでも「失敗した」と感じることは少ないと思いますが、実際に使ってみると、SA3900の「中学生にぴったり最適化されたまとまりの良さ」と、SX3810の「学年をまたいだ懐の深さ」という性格の違いが、じわじわと効いてきます。中学生の勉強に全振りするならSA3900、長く幅広く使いたいならSX3810、と考えると選びやすくなるはずです。
最後に個人的な感想としては、テスト前や塾の宿題など「今すぐこの範囲を仕上げたい」というシーンではSA3900のほうが圧倒的に使いやすく感じました。一方で、休日にじっくり調べ物をしていて「気づいたらいろいろなコンテンツを渡り歩いていた」という楽しさはSX3810のほうが上。どちらの使い方が自分(もしくはお子さん)のスタイルに近いかをイメージしながら選ぶと、満足度の高い一台に出会えると思います。
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